繰り返すが、性被害は男性も被害者となる場合がある。しかし、男女間での性暴力に関する認識の差は残念ながらまだあり、それがこのようなバーチャル体験を通じて男性が女性の世界の一端を知ることとなれば、それは有意義だと考えるところがあった。

 帝京大学の男子学生についても、彼が女性のような名前だったことで、図らずも女性が被りやすいアカデミックハラスメントを体験することになった。このような体験が共有されることにより、異なる性別の人から見た世界がこうも違うということが学びやすくなる。

名古屋市長の「卑猥な」ハンドサイン

 ところで最近の報道ではこんな「炎上」もあった。名古屋市の河村たかし市長が、女性アイドルと写真撮影した際に、卑猥(ひわい)な意味を持つハンドサインをしていたことがネット上で物議を醸した。

 女性アイドルたちは、若者たちの間で流行している「指ハート(親指と人さし指を交差させてハートを作るポーズ)」をしていたのだが、河村市長はグーを作り中指と人差し指の間に親指を入れるハンドサインを作っていた。

 これは「フィグ・サイン」「女握り」とも呼ばれ、性行為を表すジェスチャーとして知られる。

 河村市長は「卑猥な意味を持つハンドサインだと知らなかった」としながら、「おわび申し上げる」と謝罪した。

 ネット上ではこのニュースに対して、ハンドサインの意味を知らなかったという反応も多い。筆者の個人的な印象では、若者より中高年が使うことが多く、また女性に対して、性体験の有無を聞いたり、「この意味を知っているか」と問うようなセクハラ目的でこのジェスチャー行為が行われるのを目撃したこともある。このようなハンドサインの意味を知る場面についても、男女で差があるのかもしれない。