韓国で、日本産高級ブドウ流出は「日本が悪い」の論調が変わってきた理由写真はイメージです Photo:PIXTA

シャインマスカット、ルビーロマン、マイハート……日本産高級ブドウの、韓国・中国への流出が止まらない。シャインマスカットだけでも、日本側の経済損失は年間100億円以上と言われる。「韓国が日本のブドウを盗んだ」事態になっていることに対して、韓国では「他の名前で売ればいい」「韓国から盗んだものを先に返して」などという反応が多かったが、徐々にメディアの論調が変化してきたようだ。なぜ風向きが変わってきたのだろうか?(ビジネスライター 羽田真代)

甘さが足りず、実がブヨブヨ……韓国産シャインマスカット

 広島生まれのシャインマスカットが韓国に流出して数年が経った。最近になって日本でも報じられているように、現在流通している韓国産シャインマスカットの味を一言で表すと「ビミョウ」だ。本来の甘みは感じられず、実はブヨブヨしていて皮が厚い。シャインマスカットは甘くて皮ごと食べられることが魅力だったのに、皮ごと食べてもまったくおいしいとは思えない。

 日本の果物の苗木をそのまま韓国で育てても、同じような果実は栽培できない。単価が高いシャインマスカットに飛びついた農家たちだったが、技術やノウハウがないために自分たちの手で高級ブドウの魅力をつぶしてしまった。

 日本から韓国に流出した高級ブドウは、シャインマスカットだけではない。今年はルビーロマンとマイハートまで流出していたことが判明した。しかし、これらのブドウもシャインマスカットと同じような道をたどることになるのではないだろうか。だから、日本の農家は韓国に臆することなく、高品質なブドウを世界に送り出してほしいと思う。そして、これまでの失敗を教訓に、韓国などに奪われた世界の高級ブドウ市場を一刻も早く取り返してほしいとも思う。

 一方で、立て続けに「韓国が日本のブドウを盗んだ」と日韓両国メディアが報じたことによって、韓国側、とりわけ韓国メディアの反応が変わってきたように思う。今回は現在の韓国ブドウ市場をご紹介しながら、韓国国民とメディアの反応まで見ていきたい。