行動制限が解除され、入国制限も大きく緩和されるなど、人々の生活は少しずつ「コロナ前」に戻りつつある。だが、一難去ってまた一難。ビジネスの世界では、円安や資材高が多くの企業を混乱のうずに巻き込んでいる。その状況下で、好決算を記録した企業とそうでない企業の差は何だったのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は壱番屋、トリドールホールディングスなどの「その他外食(ラーメン・餃子・定食など)」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の「その他外食」(ラーメン・餃子・定食など)業界5社。対象期間は2022年5~9月の直近四半期(壱番屋は22年6~8月期、その他4社は22年7~9月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・壱番屋
増収率:6.4%(四半期の売上高116億円)
・トリドールホールディングス(丸亀製麺など)
増収率:22.8%(四半期の売上収益482億円)
・王将フードサービス
増収率:11.2%(四半期の売上高225億円)
・大戸屋ホールディングス
増収率:29.4%(四半期の売上高56億円)
・ペッパーフードサービス(いきなり!ステーキなど)
増収率:マイナス13.2%(四半期の売上高38億円)
「その他外食」業界では、大戸屋ホールディングスが3割弱、トリドールホールディングスが2割超の増収を達成した。壱番屋、王将フードサービスも増収を果たした。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う大減収からの反動増の影響には注意が必要だが、「まん延防止等重点措置」などの解除によって、各社の業績が回復に向かっているのは確かなようだ。
一方、ペッパーフードサービスは前四半期に続き、分析対象とした5社の中で唯一の四半期減収となった。詳しくは後述するが、同社の決算短信には経営危機に陥っていることを示す「疑義注記」が記されている。
苦境のペッパーフードサービスでは、今回扱う決算期に含まれる8月12日付で、不振の責任を取って一瀬邦夫氏が社長を辞任。後任として、長男の一瀬健作氏が副社長から昇格した。
新体制で経営を立て直そうとしている同社だが、その利益面や既存店売上高はどのような状況にあるのか。
次ページでは各社の増収率の推移を紹介するとともに、ペッパーフードサービスの現状を詳しく解説する。