餃子の王将Photo:Diamond

コロナ禍だけでなく、円安や資材高の影響も相まって、多くの業界や企業のビジネスは混乱状態にある。その状況下でも、苦境を打破できた企業とそうでない企業との間で勝敗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は壱番屋、トリドールホールディングスなどの「その他外食(ラーメン・餃子・定食など)」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

餃子の王将は「値上げ成功」で増収
いきなり!ステーキは2桁減収

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の「その他外食」(ラーメン・餃子・定食など)業界5社。対象期間は2022年2~6月の直近四半期(壱番屋は22年3~5月期、その他4社は22年4~6月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・壱番屋
 増収率:2.0%(四半期の売上高113億円)
・トリドールホールディングス(丸亀製麺など)
 増収率:17.1%(四半期の売上収益438億円)
・王将フードサービス
 増収率:11.9%(四半期の売上高226億円)
・大戸屋ホールディングス
 増収率:33.4%(四半期の売上高54億円)
・ペッパーフードサービス(いきなり!ステーキなど)
 増収率:マイナス17.1%(四半期の売上高37億円)

※ペッパーフードサービスは22年12月期第1四半期から収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、当社の開示方法に準じて、前年同期の売上高と増収率には同変更を遡及適用していない。

「その他外食」業界では、大戸屋ホールディングスが3割超、トリドールホールディングスが2割弱の大幅増収を達成した。

 王将フードサービスは22年5月に一部商品の値上げに踏み切ったものの、客離れにはつながらず、2桁増収という上々の結果で着地した。残る2社では、壱番屋はかろうじて増収を果たした一方、ペッパーフードサービスは2割弱の減収と不振ぶりが目立った。

 苦境のペッパーフードサービスでは業績不振の責任を取り、創業者の一瀬邦夫社長が8月12日付けで退任したが、その実態はどれほど深刻なのか。また、その他の4社も「コロナショック」から完全復活したといえるのか。

 次ページからは、各社の増収率の時系列推移を紹介するとともに、その現状について詳しく解説する。