選別開始!倒産危険度ランキング2022#25Photo:webphotographeer/gettyimages

「最悪期は脱した」「問題ない」……。倒産危険度ランキングは、あくまで「Zスコア」という指標による評価だ。ワースト上位入りした企業は現状をどう見ているのか。ダイヤモンド編集部はワースト20社に入った企業を直撃し、それぞれの言い分を聞いた。特集『選別開始!倒産危険度ランキング2022』(全20回以上)の#25では、その一覧を掲載する。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

祖業の広告事業から撤退
SaaS事業の成長で反転攻勢

 ITベンチャーのUnipos(ユニポス。旧Fringe81)が今春、祖業であるインターネット広告事業から撤退した。新型コロナウイルスの感染拡大によって、主力クライアントの広告出稿が減少し売り上げに直撃、その結果、2021年3月期には8.5億円もの純損失を計上していた。

 同社が反転攻勢の軸に据えるのが、従業員同士で報酬を送り合うピアボーナスサービスを提供する、HRプラットフォームの「ユニポス」事業だ。

 田中弦社長は、「広告事業からの撤退は苦渋の決断だった。だが、市況の先行きが見通しづらい広告事業に比べて、ユニポス事業は赤字の中でも売り上げを順調に伸ばしていた。SaaSは(リカーリングによる)“積み上げ型”のビジネスなので売り上げの予測が立ちやすく、また大手企業のパイプライン(見込み顧客)も見えていた。最終的にはユニポス専業になる方が、将来的な企業価値は高くなると判断した」と、その背景を語る。

 SaaS事業は、シェアの高い企業が独占的に市場を制圧する“ウィナー・テイク・オール”になりやすい。その意味で、成長見込みのあるユニポス事業を短期で成長させるために一気にアクセルを踏み込むという判断は、自然な発想でもある。

 ユニポスは昨年、名刺管理アプリを手掛けるSansanと資本業務提携を行い、同社と日本政策投資銀行から総額38億円の資金調達を行った。ユニポス事業は成長途中でいまだ赤字ではあるものの、調達した資金を活用しつつSansanとの顧客獲得面での連携などにより売り上げを伸ばし、早期の黒字化を目指すという。

 今回、ダイヤモンド編集部が上場企業3935社の「倒産危険度(Zスコア)」を総点検したところ、509社が“危険水域”と判定された。上位には「衣・食・泊」といった新型コロナウイルスの感染拡大で大打撃を受けた業界を中心に、経営リスクが高い企業が並んだ。

 一方、業績悪化の主因となったコロナ禍による渡航や人流制限などは、徐々に解除されつつあり、好転の兆しも見え始めている。

 ワーストにランクインした各社に、今後の見通しや“反論”を聞いた。