ロシアのウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナ侵攻の決定を後押ししてきた陰の実力者がいる。戦争でロシアの国力を証明できると訴えた富豪ユーリ・コバルチュク氏(71)だ。同氏はプーチン氏とは数十年来の旧友だ。強力な軍事大国であり、米国に対する文化的な対抗軸としてロシアをとらえる点でプーチン氏と共通する。コバルチュク氏を知る複数の関係者が明かした。2月の侵攻開始以降、コバルチュク、プーチン両氏は頻繁に会っているほか、電話やビデオを通じても連絡を取っている。コバルチュク家の友人や元ロシア情報当局者が語った。プーチン氏はかねて、信頼する側近らにロシアの重要産業の運営を任せてきた。だが、コバルチュク氏はプーチン氏との個人的な関係の深さや世論誘導で果たす役割という点において、突出した存在だ。財務情報や裁判所文書、元情報当局者や友人らへの取材で分かった。