おひとりさまの老後には、現役時代には見えにくい落とし穴がある! それも踏まえた、お金&老後対策は必須です。男性の3.5人に1人、女性は5.6人に1人が生涯未婚と、独身者は急増中ですが、税金や社会保険などの制度は結婚して子どもがいる人を中心に設計されており、知らずにいると独身者は損をする可能性も。独身者と家族持ちとでは、本来お金についても老後対策についても「気を付けるべきポイント」が違います。独身者がひとりで楽しく自由に生きていくためにやっておくといい50のことを税理士の板倉京氏が著した「ひとりで楽しく生きるためのお金大全」から、一部を抜粋して紹介します。

【お金の専門家が教える】独身者が家を買う時に絶対に考えておくべきことPhoto: Adobe Stock

持ち家の「出口戦略」をまず考える!

 持ち家の人やこれから家を買う人は「その家をどの時点でどう処分するのか」という「持ち家の出口戦略」を考えておきましょう。

 家族持ちの場合は、特に準備をしなくても「家の処分は子どもに任せる」という選択肢がありますが、独身者の場合はそうはいきません。生きているうちに売却して施設などに移るための老後資金にするのか、あるいは、死ぬまでその家に住み続けるのか。その場合、死後は誰に託すのかなどを、事前に考えておきましょう。

「自宅はゆくゆくは売却して老後は老人ホームなどケアのしっかりしたところに移り住もう」という場合は、自宅を売却したお金が老後資金の助けになるし、死んだあとの自宅の処分も必要ありません。

 しかし、「老後も自宅で暮らし続けたい」なら、老後資金の確保と自分の死後のことを決めておく必要があります。

独身者にはおすすめ「リバースモーゲージ」

 自宅に住みながら資金を調達する方法として「リバースモーゲージ」「リースバック」という方法があります。

「リバースモーゲージ」とは、自宅を担保に銀行からお金を借りる制度です。生きているうちはローンの返済をせず、借りた本人が亡くなったあと、担保にしていた自宅を売って一括返済します。生きている間に払うのは利息だけ。

 この制度、実は利息がとても高いので、なるべく多くの財産を家族に残したい、という人には積極的におすすめできるものではありません。ただし、独身者に限っていえば、悪くない選択肢です。自宅に住みながら、老後資金を調達できて、自分の死んだあとには銀行が自宅の売却をしてくれるので、自宅の処分にも困りません。自宅を相続させたい相手のいない独身者にとっては様々な希望が叶ういい制度だと思います。

 ただし、マンションや一戸建てでも価値が低い場合は、使えないこともあります。

自宅を売って借りて住む「リースバック」

「リースバック」は自宅を売って、売った自宅を借りて住み続ける方法です。今の家に住み続けたいけれど、手元資金は欲しいという人の希望を叶える方法として最近CMなども見るようになりました。

「相場より安い売却額、相場より高い家賃」が設定されているケースが多いようで、これも一般的にはおすすめできません。

 ただし、「財産を残したい相手がいない」「家の処分を頼むのが面倒」という独身者には一考の価値があるかもしれません。

*本記事は、独身者向けのお金&老後対策を書いた、板倉京著「ひとりで楽しく生きるためのお金大全」から、抜粋・編集して構成しています。