――筆者のエリオット・コーエン氏は米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院の教授。戦略国際問題研究所(CSIS)で戦略分野のトップも務めている ***  2月24日、ロシアはウクライナに多方面から侵攻し、ロシア帝国を再び確立するための戦争を始めた。だがこの戦争は、そのとき始まったわけではない。ロシア軍がクリミアを占領し、ドンバス地方に押し寄せた2014年に始まったわけでもない。むしろ、少なくとも20年以上前、ソ連が崩壊して数年のうちに、ロシアがかつての権力を回復するためにさまざまなキャンペーンを始めたときから始まっていた戦争だ。