87歳の元ソニー常務が、仕事も家事も「今が一番働き盛り」と誇る理由老いて「できない」ことが増えていく現実を受け入れてこそ、「できる」ことを大事にしはじめる。自分の能力の限界を思い知りながら、それでも「できる」ことを大切にし、日々の達成感を得ていく(写真はイメージです) Photo:PIXTA

平均寿命が延びて人生100年時代といわれるようになり、もはや「60歳で定年を迎えて楽隠居」ということはあり得ない社会となりました。「どうせ生きるなら、楽しく幸せに生きたほうがいい。そして、幸せになるために一番簡単な方法は『働く』ことだと思っている」という元ソニー常務の郡山史郎さんは、87歳の現役ビジネスマンです。そこで今回は郡山さんの著書『87歳ビジネスマン。いまが一番働き盛り』(青春出版社)から、「働くことを通して幸せになるヒント」を紹介します。

87歳のビジネスマンが今日も会社に行く理由

 人間の平均寿命は過去何万年もの間、30~50歳だった。それが現代になり、2倍近くにまで寿命は延びた。

 当人にとっては、長寿は大問題でもある。年をとれば知力も体力も低下する。膝は痛く、耳は聞こえず、目はかすむ。衰えゆく頭と体を抱えて、それでもなお面白く生きる方法はないものか。

 日に日に「できる」ことが減り、「できない」ことが増えていく。この流れに逆らうことはまず不可能だ。しかし、そのように衰えゆく自分の現実を認めてしまったいま、私はじつに快適に暮らしている。それどころか、私は生まれてはじめて「働く幸せ」というものを噛みしめているのだ。