「コミュニケーションは“お笑い”のスキルでもっとうまくいきます」。そう語るのは、元芸人でネタ作家の芝山大補氏だ。芸人300組以上のネタ制作に携わった経験を活かし、ビジネスパーソンから一般の方まで幅広い層に「コミュニケーションに活きる笑いのスキル」を教えている。そのノウハウをまとめた初の著書『おもろい話し方 ~芸人だけが知っているウケる会話の法則』が話題を集めている。「初対面でも会話が続く人がやっていること」「トークで相手を引き込むコツ」「相手の心に10倍響く“感想”の伝え方」「好かれるリアクションの極意」「すべらない話の作り方」「お笑いタイプ診断」など、元芸人ならではのコミュニケーションノウハウが満載の一冊だ。今回は、その芝山氏にコミュ力を高めるコツを聞いてみた。
相手の「聞く姿勢」を整えてから話している?
今回は、「一瞬で相手を話に引き込む方法」を紹介します。
じつは誰にでも簡単にできる、相手を話を引き込むコツがあります。
それは、「前置き」を工夫することです。上手に前置きを使えれば、一気に相手を話に引き込むことができます。
まずは次の会話を見てみましょう。
A「そういえば、うちのアパートの隣にラーメン屋ができたんだけど、めちゃくちゃうまいんだよね」
B「へ~、そうなんだ~」
こうしていきなり本題に入ると、相手はまだ聞く姿勢が整っておらず、なかなか話に入り込めません。
上手な「前置き」で、相手を一気に会話に引き込もう
では、次のように前置きを使うとどうでしょう?
A「あのさ、最近めちゃくちゃ嬉しかったことがあるんだけど」
B「え、なになに?」
A「うちのアパートの隣にラーメン屋ができたんだけど、めちゃくちゃうまいんだよね」
B「へえ! 何系のラーメン!?」
先ほどの例と比べると、事前に相手を会話に引き込み、聞く姿勢を整えていることがわかると思います。これが前置きで話に引き込むということです。
前置きのコツとしては「大袈裟に言う」ことです。この例も「家の近くに美味しいラーメン屋ができた」というだけの話ですが、前置きは大袈裟ですよね。
大袈裟にする理由は、「いったいこれから何を言われるんだろう?」と緊張感を作ることにあります。人はリラックスしている状態だと、話が右から左に流れていきます。意図的に緊張感を相手に与えることで、聞き手は前のめりになるのです。
芝山大補(しばやま・だいすけ)
ネタ作家
1986年兵庫県生まれ。2007年、NSC大阪校に入学。2009年、2011年には、それぞれ別のコンビでキングオブコント準決勝進出。2015年にはフワちゃんと「SF世紀宇宙の子」を結成。同コンビを解散後は、ネタ作家に転身。賞レースのファイナリスト、セミファイナリストなど、芸人300組以上のネタ制作に携わる。2019年からは、「笑いの力で人間関係に悩む人を救いたい」という想いから、お笑いの技術を言語化して伝える「笑わせ学」に取り組む。講義やイベントでの指導、YouTubeやTikTokでの活動を通じて、多くの人に芸人の技術を伝えている。発売から続々重版が決まっている初の著書『おもろい話し方』が絶賛発売中。