ロシア軍がウクライナ東部の小都市リマンの戦闘で敗北しつつあった9月下旬、モスクワから暗号化された回線を通じて前線の司令官に電話がかかってきた。電話はロシアのウラジーミル・プーチン大統領からで、兵士たちに退却しないよう命じるものだった。当時のやりとりについて概要の説明を受けた欧米の現・元当局者らやロシア情報当局の元高官によると、プーチン大統領は実際の戦況をあまり理解していなかったようだ。欧米が提供した大砲の援護を受けて前進するウクライナ軍は、装備の不十分なロシアの前線部隊を包囲していた。プーチン氏は、自身の指揮下にある将校たちの命令を覆す形で、兵士たちに陣地を死守するよう指示したという。