新型コロナウイルス禍に数百万人の労働者が退職を決断した「大量離職」現象が、弱まる兆しを見せている。だからと言って、企業は従業員を当たり前の存在とみなしていいわけではない。英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)スクール・オブ・マネジメントのアンソニー・クロッツ准教授はこう指摘する。「Great Resignation(大量離職)」という造語の生みの親であるクロッツ氏は、労働市場の混乱期は終わりつつあるようだが、雇用主はコロナ前のような融通の利かない状態に戻って労働者を遠ざけることは避けるべきだと助言する。「大量離職は多くの点で終わりを迎えた」と同氏は述べ、離職の数と率はコロナ前の水準に戻っていると指摘した。その上で「ただし、(残った)従業員は恐らく退職はしないだろうが、雇用主がこの市場を利用して、自分たちの生活向上につながった変更を覆していると感じれば、別の問題を生み出しかねない」と話す。
「大量離職」収束の兆しも、企業は人材に投資を
働き方や福利厚生をコロナ前に戻せば、従業員から報復される可能性も
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