ロシアによるウクライナ侵攻は、世界の将来に関する多くの前提を打ち破り、歴史の極めて重要な節目となった。米国など西側諸国はもはや、幻想を基にした安全保障に対する誤った認識を持ち続けることはできない。幻想とは、独裁政権や抑圧的な国家が、特に脆弱(ぜいじゃく)で無能で秩序が取れていないと考える西側の民主主義国家に対して、彼らの目的を前進させるために経済力と軍事力を行使することはないというものだ。困難に直面した世界では国家の安全保障が最も重要であり、これからも常にそうであることをわれわれは思い知らされている。たとえ、平穏な時期にはその重要性が後退するかに思えてもだ。また、米国は単独でやっていけるとの考えは忘れる必要がある。米国の指導者たちは常に自国を第一に考えるべきだが、世界の平和と秩序は米国にとって生死を分かつ利益だ。西側世界をリードし、まとめる完全な能力を持っているのは米国だけで、しかしわれわれはそれを、敬意を持って、同盟国と協力しつつ実行しなければならない。同盟国と結束し、足並みをそろえることができなければ、対立する西側諸国を独裁的な勢力が分断し、征服することになる。米国は軍事力だけでなく、経済・外交・道徳の力をもってリードする必要がある。われわれにできることは次の通りだ。