1974年12月、著名な歴史学者で、米大統領のスピーチライターを何度か務めたアーサー・M・シュレシンジャー・ジュニア氏は、現代の経済予測の問題点を、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に掲載された非常に長い一文に要約した。「ほとんどの経済学者、ビジネスマン、政府当局者はこの瞬間までかたくなに、インフレーションは現代資本主義の構造的脆弱(ぜいじゃく)性ではなく、むしろ同時発生した不運による偶発的結果であり、その緩和に必要なのは忍耐と時間(および失業)だけだと考えている」仮にシュレシンジャー氏が存命で、いま何か執筆したとしても、これ以上うまくは表現できなかっただろう。主流の金融世界の考え方では、インフレは一時的な現象であり、連邦準備制度理事会(FRB)が利上げの処方箋を速やかに出すことで治るものだという基本的な前提がある。だが、1974年当時と同様にシュレシンジャー氏の考えは今も正しく、現在の資本主義に対するインフレ圧力は持続する、と考えるべき根拠は十分にある。
インフレに楽観的すぎる? 投資家は油断禁物
長期的な物価上昇圧力を過小評価しているかもしれない理由
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