文庫新刊書『世界の宗教地図 わかる!読み方』からの一部抜粋で、宗教と世界情勢の密接な関係を、わかりやすく紹介していく。今回は、EU加盟を悲願とするがいまだに正式加盟に至らないトルコの現状、タリバン政権の復活で世界中から反発を受けているアフガニスタン情勢について解説する。
トルコのEU加盟が、
なかなか認められない理由
トルコは東と西の文化がちょうど交差し、入り交じる特異な地理的条件にある。イスタンブールの街には西洋的な品々が並ぶなか、どこかエキゾチックな伝統の産物も交ざり、独特の雰囲気を生み出している。
そんなトルコの悲願が、EU(欧州連合)への正式加盟である。1987年、EUの前身であるEC(欧州共同体)加盟を申請して以来、準加盟国としての参加は認められているものの、なかなかEUへの正式加盟が認められない状態が続いている。その最大の理由が人権問題、そして宗教だと指摘されている。
EU加盟国はキリスト教が多数派の国々だが、トルコは国民の9割以上をイスラム教徒が占める国。世界各地でイスラム過激派の活動がやまないなか、トルコのEU加盟により、そうした過激派が自国に流入するおそれがあると警戒されている。