世界は対立や紛争にあふれている。米中の覇権争い、ミャンマー、イラン核問題、イスラム過激派テロ、そして台湾の緊張や北朝鮮核ミサイルなど、キナ臭さは高まる一方だ。この緊迫した世界情勢を解説した新刊書『世界の紛争地図 すごい読み方』からの一部抜粋で、世界各地の対立と紛争の背景をわかりやすくコンパクトに伝えていく。今回は、タリバンによる電撃的な政権奪取で世界を驚かせたアフガニスタン紛争の歴史を解説する。
アメリカ軍撤退で
新展開を迎えたアフガン情勢
2001年9月11日、アメリカが歴史上はじめて本格的な本土攻撃を受けた。ハイジャックされた民間機3機がニューヨークの世界貿易センタービルの2棟とワシントンの国防総省ビルに突入、さらにもう1機がピッツバーグ郊外に墜落し、合わせて約3000人が死亡したのだ。
このアメリカ同時多発テロにおいて、ジョージ・W・ブッシュ大統領(当時)はイスラム過激派アルカイダの犯行と断定。その指導者オサマ・ビン・ラディンを匿っていたアフガニスタンのタリバン政権を打倒すべく、多国籍軍で攻撃を行った。アフガニスタン戦争の勃発である。
アメリカ率いる多国籍軍の圧倒的な軍事力の前に、タリバン政権は2ヵ月足らずで崩壊し、首都カブールを追われた。国連は暫定政権をつくってハーミド・カルザイ氏を暫定議長とし、新たな国づくりを開始した。