イスラム過激派の
標的となる中国人
今年、アフガニスタン情勢は大きく動いた。反政府勢力だったタリバンが実権を奪還し、アフガニスタン政策に長年懐疑的だったバイデン大統領は支持低下を招いたものの、米軍の完全撤退を完了させた。
そして、アフガニスタン情勢への懸念が国際社会で広がる中で、テロリズム研究の世界では一つの議論が活発化している。それは、中国とイスラム過激派の接近、要は、中国がイスラム過激派の標的になる機会が増えるのかという議論だ。
これは、決して新しい議論ではない。たとえば、アルジェリアなどで活動するアルカイダ系組織「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ」は2009年7月、新疆ウイグル自治区で多数のイスラム教徒の死者が発生したこと(2009年ウイグル騒乱)を受けて、中国領内やアフリカ北西部で働く中国人を標的にした報復を行うとする声明を発表した。