今、「学校に行かない子どもたち」が、とても増えています。小・中学校の長期欠席者は41万人(うち不登校が24万5000人・令和3年度)にのぼり、過去最高を更新しています。本連載では、20年にわたり、学校の外から教育支援を続け、コロナ禍以降はメタバースを活用した不登校支援も注目される認定NPO法人「カタリバ」の代表理事、今村久美氏の初著書「NPOカタリバがみんなと作った 不登校ー親子のための教科書」から、不登校を理解し、子どもたちに伴走するためのヒントを、ピックアップしてご紹介していきます。

「隠れ不登校」の子は10人に1人?Photo: Adobe Stock

「隠れ不登校」の子どもたち

「不登校」にカウントされていない子どもでも、みんなが元気に朝から夕方まで教室で過ごしているとは限らない、とお伝えしました。

 “隠れ不登校”とも呼ばれる「不登校傾向」にある子どもたちは、「不登校」にカウントされている子どもたちの3倍以上もいると言われています。

 割合で言えば、全中学生のうちの10・2%、つまり10人に1人以上の子どもが「隠れ不登校」状態だという統計もあります。

 こうした子どもたちは、新型コロナウイルス流行以降、さらに増加している可能性があると思われます。

部分登校、仮面登校……「不登校傾向」は人それぞれ

「隠れ不登校」の子どもたちには、次のようなケースがあります。

教室外登校…校門、保健室、図書室、校長室などには行くけれど、教室には行かない。

部分登校…基本的には教室で過ごすが、授業に参加する時間が少ない。

仮面登校A(授業不参加型)…基本的には教室で過ごすが、皆とは違うことをしがちであり、授業に参加する時間が少ない。

仮面登校B(授業参加型)…基本的には教室で過ごし、皆と同じことをしているが、心の中では学校に通いたくない、学校がつらい、嫌だと感じている。

 ただ、「教室外登校」と言っても、「教室にはいじめっ子がいるから入りたくない」と子どもが教室に入ることを拒絶しているケースもあれば、「算数の授業についていけないから、算数の時間だけ別室で指導をする」とか、「前年度に不登校だったので、少しずつ復帰するために保健室登校をすすめている」といったように、学校側が教室外登校を推奨しているケースもあります。

 学校も「全員一律に教室にいないとダメ!」という考え方から、「形はどうであれ、学びを続けていくことが大切」という考え方に移行しつつあるのでしょう。

 このように、学校の多様な対応と献身的な努力で「不登校」に至らず、「不登校傾向」にとどまっている子どもたちでさえ、年々増えているのが教育現場の実情なのです。

*本記事は、「NPOカタリバがみんなと作った 不登校ー親子のための教科書」から抜粋・編集したものです。