「ギバー」が集まると、
自然と「素敵なご縁」が広がっていく

 僕は、世の中には2種類の人間がいると思っています。

「テイカー」と「ギバー(giver)」です。「テイカー」とは、すでに述べたように、「自分の利益のためだけに、人から奪おうとする人」です。一方、「ギバー」とは、「人に利益を与えると、自分にも与えられる」ことを知っている人です。

 人間は「利益」を確保しなければ、生きていくことはできませんから、「自分の利益」を得ようとするのは全く間違ったことではありません。むしろ、自分のために頑張れない人はダメです。自分のために頑張れない人が、周りのためにも頑張る「ギバー」になることはできません。まずは自分を大切にしなければならないのです。

 ただし、だからと言って、「テイカー」のように、「人から奪う」ことで利益を得ようとする人は、一時的に成功することはあっても、長期的にそれを持続することはできないでしょう。それよりも、長期的にうまくいくのは、「ギバー」のように、「人に与える」ことで自分にも利益がもたらされることを知っている人です。

 もちろん、中には「ギバー」でも成功しない人がいますが、それは「テイカー」と付き合って、一方的に吸い取られるばかりだからです。

「テイカー」と付き合うのをやめて、「ギバー」とだけ付き合うようにすれば、人生は一変するはずです。誰かのために頑張っている人に「ギブ」できれば、その人は何かを返してくれるからです。たとえ、自分に返ってこなかったとしても、そういう人は、必ず、誰か別の人に何かを与えているでしょう。こうして、「ギバー」が集まるコミュニティはどんどん成長して、豊かになっていくのです。

 だから、僕は「ギバー」としか付き合わないし、「ギバー」としか時間を共有しません。そして、自分のコミュニティに「テイカー」を紛れ込ませないために、細心の注意を払っています。自分が主催する会食やゴルフコンペに呼んだり、どなたかをご紹介する前に、必ず、一対一でお会いして、じっくりとお話を伺うようにしています。そして、その人が「テイカー」か否かを慎重に見極めるのです。

 もちろん、これは僕の主観によるもので、100%のスクリーニングをするのは非常に難しいことだとは思います。だけど、その人の「生い立ち」からすべてのお話を伺っていると、「何かおかしい」と気づくことがあります。

 例えば、先ほどの元甲子園球児も、その後、よくよく思い返してみると、言っていることの辻褄が合わないことがたくさんあったのです。よほど頭のよい人でなければ、「嘘」の辻褄を完璧に合わせるのは難しい。どこかで破綻していたり、疑念が残るものなのです。

 これは「動物的な勘」による判断にもなりますから、僕の判断が100%正しいかどうかはわかりません。だけど、僕と「ご縁」をつないでくださっている「ギバー」の方々を守るためには、僕の判断と、僕の責任において、「テイカー」と思われる人物からは距離を置き、僕のコミュニティには入れないようにしています。

 ちなみに、お客様に対しても、同じ方針を取っています。

 調子よくお金を稼いでいるようで、高額の契約をお預かりできるかもしれないけれども、具体的にどのような仕事をして、お金を稼いでいるのかがわからない人はお断りするようにしているのです。そのようなお金を財布に入れたら、僕のお金が燃え出すからです。

 そんなお金で営業成績を立てるよりも、少額のご契約であっても、毎日コツコツと働いていらっしゃる「ギバー」のお金をお預かりするほうが、絶対に「運気」がよくなります。大事なのは金額の大小ではなく、その人物の生き方なのだと思うのです。

 そして、僕が「ギバー」だけが集まるコミュニティをつくることができれば、それが、僕に大きな「影響力」を与えてくれるはずです。

 なぜなら、「金沢さんが主催する会なら安心だ。大切な友人を連れて行こう」「知人を金沢さんに紹介したら、そこから素敵なご縁を広げてくれそうだ」と思ってもらえることによって、どんどんとコミュニティが成長していくからです。そのためにも、僕自身が「ギバー」としての生き方をより一層磨いていく必要があると思っています(詳しくは、『超★営業思考』に書いてありますので、ぜひお読みください)。