「速歩」と「ゆる歩き」を交互に繰り返すウォーキングの健康効果とは?【信州大の研究より】Photo:PIXTA

 毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」だ。主催の日本生活習慣病予防協会は「幸せは足元から 多く動いて健康を実感」をスローガンに、身体を動かそうと呼びかけている。

 運動といっても大げさなことをする必要はない。手軽かつ健康効果が証明された運動は「歩くこと」なのだ。ただし最大限に恩恵を受けるには、個人の持久力の指標となる最大酸素摂取量(VO2max)の70%程度の運動負荷を一定の頻度と時間でかける必要がある。

 信州大学医学部の能勢博特任教授らのグループが提唱する「インターバル速歩トレーニング(IWT)」は、「速歩」と「ゆる歩き」を3分ずつ交互に繰り返す方法だ。

 平均年齢65歳の中高年男女826人(男性246人)を対象にした効果検証試験では、VO2max70%以上の速歩3分間に続けて、VO2max40%以下のゆる歩き3分間のワンセットを1日4セット以上、速歩合計が1週間に60分間以上を目安として4カ月間続けてもらった。

 その結果、全例で持久力と太腿の筋力がアップ。血圧値、血糖値、肥満といった生活習慣病に関連する数値が改善したのである。

 次にワンセットの内容は変えず、速歩の合計時間を週に60分間以上、つまり小分けにしても週末にまとめてもOKという縛りで5カ月間実施してもらったところ、持久力が15%増加するとともに生活習慣病の各指標が20%改善。うつ症状と膝関節痛も半減し、当然だが医療費も2割減っている。

 さらにIWTの健康効果を分子生物学的に解析してみると、近年、老化や生活習慣病の加速因子として注目されている「慢性炎症」を促す遺伝子の活性が抑えられた一方で、炎症反応を抑える遺伝子が活性化されていたのだ。

 面白いことに、この炎症を鎮める効果はIWT後30分以内にチーズ(18.4g)やヨーグルト(80.0g)を食べると強化されることもわかっている。アスリート用のプロテインより、糖質・乳タンパク質の両者を摂るのが良いようだ。

 正しいIWTを始めるにはまず、VO2maxを知る必要がある。ウエアラブルデバイスが便利だが、最近は全身持久力測定サービスを提供する自治体も増えてきた。興味がある方は検索してみるといいだろう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)