プルデンシャル生命保険で「前人未到」の圧倒的な業績を残した「伝説の営業マン」である金沢景敏さん。営業マンになった当初はたいへん苦労しましたが、あることをきっかけに「売ろう」とするのをやめた結果、自然にお客様から次々と「あなたからサービスを買いたい」と連絡が入るようになりました。どうすれば、そのような営業スタイルを作り上げることができるのか? 本連載では、金沢さんの初著作『超★営業思考』を抜粋しながら、その「秘密」をお伝えしてまいります。
自分のすべての言動を、
「結果につながるか?」という視点で見直す
なんとしても「日本一の営業マン」になる――。
そう心が決まった僕は(その経緯は連載第16回参照)、「これ以上は物理的に不可能」というレベルで、アプローチするお客様の「母数」を最大化するために全力を注ぎ込む(「母数」の重要性は連載第4回参照)とともに、お客様とのコミュニケーションを根本から見つめ直して、修正に修正を重ねていきました。自分の日常的な言動を意識的に振り返って、そのすべてを「結果につながるか?」という視点でチェックしていったのです。
もちろん、その基本は、「売ろう」とするのではなく、一人ひとりのお客様から「信頼」していただけるような関係性を丁寧に築いていくこと(詳しくは連載第15回参照)。その「信頼という資産」をコツコツと貯めることができれば、必ず、「結果」はついてくる。そのためには、お客様とどう接すればよいのか? 実戦経験を重ねるなかで、試行錯誤をしながら、僕なりの営業スタイルを確立していったのです。
意識したのは、すべてをお客様の目線で考えるということ。
ここでは、その一例として、「アポどり」についてご説明したいと思います。
まず、営業マンになった当初、僕は周囲を見習ってテレアポを行っていましたが、急に電話を受けたお客様にとっては、時間を奪われる“迷惑”な行動なので、ほぼすべての連絡をメールで行うように変更しました。
メールであれば、お客様のご都合のよい時間に読んでいただけますし、面倒くさかったり、興味がなかったら、メールを開封しなくてもいい。読んでスルーしてくださってもOK。メールは、お客様にとってストレスがいちばん少ない連絡手段だと考えたのです。
しかも、メールは、僕にとっても都合がいい。
電話であれば、お客様が対応しやすい時間帯にかけなければなりませんから、こちらの行動の自由も奪われてしまいます。そもそも、お客様と会う「母数」を最大化するために、日中の時間はすべてお客様との面会に使おうと思っていましたから、夜にテレアポをするのは僕にとっても都合が悪かったのです。
元プルデンシャル生命保険ライフプランナー AthReebo(アスリーボ)株式会社 代表取締役
入社1年目にして、プルデンシャル生命保険の国内営業社員約3200人中の1位(個人保険部門)になったのみならず、日本の生命保険募集人登録者、約120万人の中で毎年60人前後しか認定されない「Top of the Table(TOT)」に3年目で到達。最終的には、TOT基準の4倍の成績をあげ、個人の営業マンとして伝説的な実績を残した。
1979年大阪府出身。東大寺学園高校では野球部に所属し、卒業後は浪人生活を経て、早稲田大学理工学部に入学。実家が営んでいた事業の倒産を機に、学費の負担を減らすため早稲田大学を中退し、京都大学への再受験を決意。2ヵ月の猛烈な受験勉強を経て京都大学工学部に再入学。京都大学ではアメリカンフットボール部で活躍した。
大学卒業後、2005年にTBS入社。スポーツ番組のディレクターや編成などを担当したが、テレビ局の看板で「自分がエラくなった」と勘違いしている自分自身に疑問を感じて、2012年に退職。完全歩合制の世界で自分を試すべく、プルデンシャル生命保険に転職した。当初は、アポを入れようとしても拒否されたり、軽んじられるなどの“洗礼”を受けたほか、知人に無理やり売りつけようとして、人間関係を傷つけてしまうなどの苦渋も味わう。思うように成績を上げられず苦戦を強いられるなか、一冊の本との出会いから、「売ろうとするから、売れない」ことに気づき、営業スタイルを一変させる。
そして、1年目にして個人保険部門で日本一。また3年目には、卓越した生命保険・金融プロフェッショナル組織MDRT(Million Dollar Round Table)の6倍基準である「Top of the Table(TOT)」に到達。最終的には、自ら営業をすることなく「あなたから買いたい」と言われる営業スタイルを確立し、TOT基準の4倍の成績をあげ、個人の営業マンとして伝説的な業績をあげた。
2020年10月、プルデンシャル生命保険を退職。人生トータルでアスリートの生涯価値を最大化し、新たな価値と収益を創出するAthReebo(アスリーボ)株式会社を起業した。著書に『超★営業思考』(ダイヤモンド社)。