「物価高倒産」の傾向を見ると、運輸業、特に貨物運送業がトップだ。2023年はコロナ融資の元金返済がスタートし、追い込まれる中小事業者は増えていくため、「あきらめ倒産」が増えていくという。大きな変革を迎えつつある「物流」の今後についてカーゴニュース紙記者が語り合った。(カーゴニュース編集部)
2023年4月から中小事業者でも
時間外労働の割増賃金率の引き上げ開始
A 「2024年問題」――すなわち、トラックドライバーの時間外労働時間の罰則付き上限規制が始まる24年4月が、あと1年と少しに迫っている。また、その前に23年の4月から中小事業者でも月60時間を超える時間外労働の割増賃金率の引き上げが始まる。そうした諸々のコストアップを前に、果たして運賃は上がるのか、荷主はどのように対応するのかが今年の焦点になってくる。
B 割増賃金率の引き上げが話題になると、一部のドライバーの中では「これまでの残業代は適切に支払われていたのか」という疑問が生じて、未払い残業代の請求に向かう可能性もあるのではないか。事業者は今後、ドライバーに対して給料の適切な説明が必要になり、事業者の負担増はもちろん、ドライバーとの関係性が悪化するケースも出てくるのでは…。そういう意味で、コスト負担だけでなく、労務管理面での難しさが増すような気がする。
C 所定外賃金支出が多くなるからには、どうしても運賃を引き上げざるを得ない。割増率が25%から50%に引き上げられることを理由にして荷主との運賃交渉もやりやすくなるのでは。上がった運賃はドライバー待遇改善に回してほしいね。いつまでも他産業よりも低いままでは業界に人は来ない。ドライバーはますます不足するという悪循環が続いていく。
D 「2024年問題」を契機に、トラックやトラック事業者の数は大きく減っていくんだろうか?
E じわりと減っているように見える。「物価高倒産」の傾向を見ていると、運輸業、特に貨物運送業はトップだ。
A 「あきらめ倒産」が増えていく気がするね。