原油価格の高騰に加え、長期化するコロナ禍、グローバルサプライチェーンの混乱、ロシアのウクライナ侵攻といった地政学リスクが国内外の物流に多大な影響を与えた2022年。23年はドライバーの時間外労働の上限規制に伴う「2024年問題」を目前に控え、山積する諸課題への対応にこれまで以上に奔走する1年となるだろう。新春にあたり、かつてない大きな変革を迎えつつある「物流」の今後について本紙記者が語り合った。(カーゴニュース編集部)
国際物流は混乱収束も
国内の荷動きは好調には程遠い
A まずは2022年の荷動きをざっと振り返ってみよう。コロナ禍の影響がまだ残っている状況だが、基本的に22年は21年の流れを引きずっていたような感じがする。国際物流については、上期は前年からのグローバルサプライチェーンの混乱が続いていて、米国西海岸のストライキなども懸念されてはいた。だが、結果的にはそこまで大きな混乱にはならず、下期以降は荷動きが弱まってきたことも相まって、混乱が収束してきた。一方、国内の荷動きは21年よりは改善してきたものの、好調というには程遠い状況が続いているという感じかな。
B 国際的には、中国のゼロコロナ政策で中国発着の物量が減少したということもあり、船舶の逼迫が一服した部分もある。海上輸送の混乱にもある程度の改善が見られ、それにより旺盛な航空輸送需要を下支えしていた「船落ち貨物」も落ち着いてきた。輸出をけん引する自動車産業は、一時期半導体不足や部品不足で生産調整による減産が起きていたが、今後は生産回復の傾向も出てくるだろう。
C NX総研が発表した22年度の国内貨物総輸送量見通しは0.5%減と微減だったけれど、国内の荷動きは振り幅の大きな増減はなくメリハリのなかった印象がある。長期的な目線でいうと、人口減で消費市場の拡大が見込めず、国内の産業構造に大きな変化がないとするならば、元気のいい産業が登場して荷動きがよくなるとは思えず、今後も活気がない状態が続くのではないか。
22年12月6日に開かれた日本物流団体連合会(物流連)の記者会見で池田潤一郎会長は、「(円安などの影響で)製造拠点が国内に回帰する動きが加速すれば、それに伴って国内貨物輸送量が増えるだろう。そうなったときに、現在の物流がその需要を支えることができるのか」と多少懸念する趣旨の発言もしていた。確かにドライバー不足をはじめ、物流のキャパシティが縮小しているという問題があるけれど、23年は荷動きに活気が出てほしいね。