ケビン・マッカーシーPhoto:Alex Wong/gettyimages

――筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター

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 米連邦政府の借入限度額を定めた債務上限をめぐる闘いは通常、チキンレースと表現される。現在の闘いで共和党議員とバイデン政権は、互いに相手が先に折れて、手に負えない影響を引き起こしかねない政府債務のデフォルト(債務不履行)を回避できるよう望んでいる。

 実際には、非常に異なる力学が働く2つの別々のチキンレースが繰り広げられている。1つ目は、債務が31兆4000億ドル(約4060兆円)の上限に達する「Xデー」までのレースで、この日以降、財務省には借り入れを増やす余地がなくなり、従って、すべての支払い義務を自腹で負担しなければならなくなる。このレースでは共和党が優勢だ。2つ目のレースはXデーの後に始まる。こちらでは形勢が切り替わり、ホワイトハウスが決定的に優位に立つ。