バイデン大統領とトランプ前大統領Photo:Joe Raedle/gettyimages

上院は民主党が多数派維持
トランプ氏が善戦を“お膳立て”

 11月8日に投開票が行われた米国の中間選挙は、上下両院で過半数の議席奪回を視野に入れていたはずの共和党が予想外に伸び悩み、直ちに多数派の行方が決まらない大接戦となった。

 中間選挙では政権政党が大きく議席を減らすのが一般的で、バイデン大統領の低支持率もあり、下院では共和党の議席増が30議席を超えると予想する向きが多かった。しかし現実には、共和党の議席増は1桁台にとどまりそうな雲行きだ。

 1議席増で多数党を奪回できる上院でも、逆に共和党が勝利を期待していたペンシルベニア州で現有議席を失ったほか、アリゾナ州に続いてネバダ州でも敗北を米主要メディアは伝え、12月6日に決選投票が行われるジョージア州で勝っても、民主党が多数派を維持する見通しになった。

 共和党苦戦の元凶として批判されているのが、トランプ前大統領だ。

 トランプ氏は多数の選挙区で自らの推薦候補を擁立、支援して共和党の大勝を導く演出で、2024年の大統領選挙出馬に勢いをつけようともくろんでいたが、かえってトランプ氏への反発が共和党候補の足を引っ張り、民主党の善戦をお膳立てする結果になった。