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萩原栄幸の情報セキュリティよもやま話

「監視カメラ・防犯カメラ」の運用方法は
十分な議論がされているのか

萩原栄幸 [日本セキュリティ・マネジメント学会常任理事]
【第2回】 2013年2月8日
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 筆者は東京新聞の記者とは若干着眼点が違う。この手の情報がただちに情報公開されないのはけしからんとまでは言い切れない。一般の市民が入手可能な情報は当然ながらテロリストたちにも入手可能であり、そこまで情報公開することが真に市民のためになるのか?という意味では、筆者は現時点でその回答を持ち合わせていない。

 ただ、この記事で注目すべき事実は、日本の警察でもここまで技術的に考えるようになったということである。現時点では、警視庁の公開資料「テロ対策に向けた民間カメラの活用に関する調査研究報告書」に詳細があるので、気になる方はご覧いただくとよいだろう。

 とここまでで掲載しようとしたら…、TBSが同じようなことを報道していたのでここに記載したい。

 今年1月30日の「みのもんたの朝ズバッ!」の午前8時26分頃からの放送において、上述の記事と同じシステムについて紹介していた。ところがそこの大きなパネルにははっきりと「東京都:アクションプログラム2013」と注意書きがあり「東京都が実現を目指す防犯システム」とあった。筆者はアクションプログラム2013において防犯に関する記載があるのは全く知らなかった。よくよく読み返したら212ページの中で3行だけ掲載されていた。文章は(図や表は全くない)次の文章で全てである。

3次元顔形状データベースのモデル地区施設における試験的運用の効果を定期的・多角的に検証し、自動照合システムの機能向上を図る。

 ここにも、情報公開への消極的な姿勢がうかがえるが、良いように解釈すれば、テロリストなどには情報を提供しないためにあえて情報は最小限にしているのだろう。ただ、別の見方も当然できる。

 技術的に完成すれば世界でも自慢できるシステムになるものだ。だが両刃の剣でもあり、これが悪用されれば、1948年に執筆されたジョージ・オーウェルの有名な小説『1984年』のような全てが監視された社会にうってつけな道具にもなるかもしれない。

 情報セキュリティの基本的な考えは「自分の身は自分で守る」ということだ。決して他人から自由を剥奪された庇護ではない。それは基本的な考えに反するのだ。今まで十分に議論しつくしていなかった「監視カメラ」の運用方法について、国も専門家もそして私たち一般市民も興味を持って考えていかなければならないと感じる。

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萩原栄幸
[日本セキュリティ・マネジメント学会常任理事]

(はぎわら えいこう)2008年6月まで三菱東京UFJ銀行にて先端技術の調査研究を職務とし、実験室「テクノ巣」の責任者として学会や金融機関を中心にセミナーやコンサルを行なう。現在は日本セキュリティ・マネジメント学会の常任理事であり学会の「先端技術・情報犯罪とセキュリティ研究会」で主査も兼務している。
防衛省、県警本部、県庁、市役所などの講演やコンサルも多数の実績を持ち、特に「内部犯罪防止」「情報漏洩対策」「サイバー攻撃対処」では第一人者であり一般的な「コンプライアンス」「情報セキュリティ」などにおいても平易に指導することで有名。

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クラウド、ソーシャル、モバイル、ビッグデータなど、経営環境をめぐる新たな技術革新が進展するにつれ、企業が対応しなければいけないセキュリティリスクも拡大を続けている。脅威から情報を守るために、ビジネスパーソンがおさえておくべきスキルや、組織におけるマネジメントが関心を持つべき新たな課題まで、「コンプライアンス」「情報セキュリティ」の第一人者が、やわらかく解説する。

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