巨大ITの市場支配は続く 成長鈍化でもAIありグーグルの親会社アルファベットと関連企業はイノベーションを続けているものの、既存製品の段階的強化にとどまる
PHOTO: JACOB KEPLER FOR THE WALL STREET JOURNAL

――筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター

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 米国の巨大IT(情報技術)企業はかつて「ビッグ・急成長・飽くなき技術革新」が三拍子そろったまれな例だった。

 だが今は主に「ビッグ」のみだ。IT大手の成長には陰りが見え、技術革新は迫力を欠いている。人工知能(AI)が成長の次の起爆剤になるとの見方もある。だがAIが真に新しい製品を生み出すのか、それともすでに掌握した市場で守りを固めるのに役立つのか、まだ定かではない。

 アップルやグーグル親会社のアルファベット、フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コムは、新型コロナウイルス流行下で売上高と利益が飛躍的に押し上げられた。2022年になると彼らは地上に戻ってきた。S&P500種株価指数の構成企業が全体として増益でも、これら5社は軒並み減益に見舞われた。売上高の伸び率も市場全体を下回った。その一部は為替変動の影響やサプライチェーン(供給網)の混乱による一時的な不調を反映し、またより深く根ざす状況が表れたものもある。メタ傘下のフェイスブックやインスタグラム、グーグル傘下のユーチューブ、それにツイッターの世界アクティブユーザー数の伸びは昨年1~3%にとどまった(センサータワーの推計)。