米国のケビン・マッカーシー下院議長Photo:Bloomberg/gettyimages

【ワシントン】2011年、米国のデフォルト(債務不履行)回避に向けたギリギリの交渉が行われていた日の深夜。当時副大統領だったジョー・バイデン氏とバラク・オバマ大統領は、大統領執務室で事態打開に向けた妥協案に関する報告を受けた。ちょうどデフォルト懸念がくすぶるアジア金融市場の動向に2人が神経をとがらせていた時だ。

「あの恐怖感は言葉にできない」。行政管理予算局(OMB)の局長を務めていたジャック・ルー氏は、共和党との協議がようやく妥結に至った心境をこう語った。合意は共和党が連邦債務の上限引き上げに同意する見返りに、民主党は歳出削減をのむという内容だった。後に財務長官を務めたルー氏はこう付け加えた。「破滅のシナリオが迫る中で国内の政策問題に取り組んだことは今まで一度もなかった」

 米国はこの夏、再び債務上限引き上げ問題に直面する。2011年の民主・共和両党による攻防劇は示唆に富むが、両党関係者の話からは、それぞれ全く違う教訓を得たことがうかがえる。