借り入れコストの上昇やエネルギー・食料価格の高止まりにもかかわらず、世界経済は底堅さが鮮明だ。各国中央銀行のインフレとの闘いはこれまでの想定以上に長引く可能性がある。今年に入り公表された米国、中国、欧州の経済指標は上振れが相次いだ。世界経済はここ数十年で最も低迷するとしていた世界銀行や他のエコノミストの予想に反する展開となっている。景気の堅調さは政府にとっては朗報だが、中銀にとってはインフレ退治に向けてさらなる利上げが必要になるかもしれない。そうなれば、依然としてやや過熱気味な景気に、実質的に冷や水を浴びせることになる。その結果、経済は今年後半にかけて減速し始め、これまで「回復の年」になると見込まれてきた2024年に入ってもそれが続く可能性がある。