米空軍将校のクリント・ハイノート氏は2018年春、派遣先のイラク・バグダッドから帰国し、新たな任務と驚くべき現実に直面した。米国防総省の行った極秘の机上演習で、南シナ海の支配権を握ろうとする中国の動きがシミュレートされた。軍の将来を構想する任務に就いたハイノート氏は、同地域で米軍が拠点とする基地や港湾に、中国の装備十分のミサイル戦力が大量に投入され、ほんの数日後には米軍戦闘機や弾薬ががれきと化す事態を目の当たりにした。「なんてこった。このままでは負ける」。そう叫んでいたと同氏は振り返る。「何も解決策が思い浮かばなかった」。現在、中将となったハイノート氏はそう話す。「中国がいかに早く進歩したか、戦争に関するわれわれの長年の教義がいかに時代遅れになりつつあるかを痛感した」