韓国の尹錫悦大統領韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領 Photo:Pool/gettyimages

韓国大統領が
5年ぶりに訪日

 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が3月16日から2日間の日程で訪日し、岸田首相と会談する。日韓首脳会談は昨年11月のカンボジア以来であり、韓国大統領の来日となれば、まだ就任1年後だった文在寅(ムン・ジェイン)前大統領の2018年5月以来、約5年ぶりとなる。

 久方ぶりの来日に至ったきっかけは、言うまでもなく3月6日の韓国政府による元徴用工問題の「解決策」発表である。

 この問題についての解説は既に数多くなされているため、ここでは省略するが、やや大胆に単純化すれば、それまで両国関係への影響に配慮して慎重に扱っていたものを、文政権が意図的に関与を放棄した結果、日本企業の賠償責任が認められ、さらに賠償の原資として韓国内の資産凍結にまで至った。今回の尹政権による解決策では、その賠償を韓国政府傘下の既存の財団に肩代わりさせるというものである。

 もちろん、あくまでも解決策の発表であり、解決のめどがついたわけではない。韓国の原告団の中には今回の解決策を評価する向きもあるようだが、今のところ、多くは被告の日本企業による資金拠出や謝罪を求めるなど、受け入れには抵抗を示している。それでも尹大統領は、元徴用工問題を早期に解決し日韓関係を改善することが大統領選の公約であるとして、今回の解決策を進める構えを崩していない。

 そうした中での日韓首脳会談であり、当然ながらメインテーマは元徴用工問題となる。まずは、尹大統領から今回の解決策を説明することになろうが、それに対して岸田文雄首相はどのように応えるのか。