国政課題の審議を
サボタージュする民主党
韓国の全国紙である東亜日報の報道によれば、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足から9カ月がたったが、その間、政府の国政課題の実現に向けて提出された5つの法案のうち、4つが国会の「敷居」を超えられず、成立できなかったことが判明した。
韓国の国会は2020年4月に総選挙を行い、「共に民主党(民主党)」は系列の比例代表政党「共に市民党」と合わせて、全議席数300の6割に当たる180議席を獲得し、圧倒的な勝利を収めた。その要因となったのが、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えた文在寅(ムン・ジェイン)政権の対応が評価を得たことである。民主党は現在でも169議席を保有している。
与党が絶対的に多数の議席を確保したならば、国益に資す国政課題の実現が容易となったはずである。しかし、文在寅政権はこの総選挙での勝利は文在寅政権が掲げる政策が国民の支持を得たものと誤解し、社会主義的な法案を国会で相次いで議決した。
しかも、国会での議決にあたっては、当時の野党である未来統合党(現在の与党「国民の力」)に対し、法案について検討する時間も与えず、国会でほとんど審議しないまま強行採決するようになった。これは韓国国民が期待する民主主義的な手法とはとてもいえないが、50代を中心とする文在寅政権支持派に守られて法律となってきたのである。
民主党は、政権交代で野党となると、一転して国政課題の審議をサボタージュするようになり、国会は機能を停止している。今、民主党が国会で行っていることは、多数の議席を利用した検察への抵抗であり、民主党の権限と組織の防衛である。
検察は2月16日、民主党代表の李在明(イ・ジェミョン)氏に対して逮捕状を請求しており、民主党が党論をまとめて李在明氏を逮捕から守れるかが焦点になっている。