石井亮次アナウンサーが大人気だ。この春から、長寿番組『世界ふしぎ発見!』(TBS系 土曜午後9時)の草野仁アナウンサーの後任司会者に大抜擢されたり、『ノックは無用!』『ノンストップゲーム』など伝説の番組も生み出した関テレ土曜昼枠の新番組『LIVEコネクト!』のレギュラー司会者に決まったり‥‥。地方ローカルだった『ゴゴスマ』(TBS系)を全国区の人気番組に躍進させたばかりか、全国からも依頼が殺到するのはなぜなのか? 石井亮次アナウンサーが自らのコミュニケーション術や話し方を余すことなく書いた著書「ゴゴスマ石井のなぜか得する話し方」から抜粋して紹介する。
チャレンジする姿勢が好感度アップにつながる
自己紹介ではインパクトを残せ、と前項で書きましたが、インパクトの中でいちばん好感度が高いのは「笑いへのチャレンジ」だと思っています。聞いている人を笑わせたいという情熱、そのための努力。ネタ自体はあまり面白くなかったとしても、その姿勢には好感が集まると思います。
僕は41歳の時、自己紹介する機会があったら必ず「バカボンのパパと同じ年です」と言っていました。「は?」という顔をする方も多いのですが、「ほら、歌にあったでしょう。41歳の春だから~♪」とちょっと口ずさんだりすると、たいていの人はクスっと笑ってくれる。
いや、もしもまったく笑ってもらえなかったとしても、それでもかまわないんです。お笑いのプロを目指しているのではないのですから「ギャグは面白ないけど、面白い(変な)ヤツやな」と思ってもらえれば充分です。
「すべる」のは、可愛げにつながる
笑いを取りに行ったのに、すべる。受けない。「しーん」となる……。想像すると恥ずかしくて穴があったら入りたい気持ちになりますが、そういう時は臆せず、
「以上です」と引き取ってしまえばOKです。
いちばんダメなのは「まったくウケませんけどね」と自分で言ってしまうこと。そういう余計なことは言わないで、さらっと引き上げたほうが余韻に可愛げが残ります。そう、この「可愛げ」というのが人の好意を引き出すための結構大きなポイントだと思うのです。
特に若い人たちは、自己紹介で思い切って笑いを取りに行ってください。それで、失敗してすべって、その場は「しーん」と気まずい感じになったとしても、「あいつ、見事にすべってたな。なんか可愛いヤツやな」という印象がみんなの心に残ります。
そう考えると、最初はすべったほうがいいくらいかもしれません。一回成功してどっと笑ってもらうよりも、一回の失敗が「撒(ま)き餌(え)」となって、大きな獲物を連れてきてくれるかもしれません。
ただし、「笑いへのチャレンジ」が自分の性格に合わないと思うなら無理することはありません。
「痛々しさ」を感じさせるほどの無理は、みんなが気まずくなるので気持ちのいい余韻にはなりません。そういう場合は、無理して明るくふるまおうとするよりも、素直に「私はしゃべるのが苦手なんですけど、仲良くなれたら嬉しいです」という想いを開示するのがいいんじゃないでしょうか。
自己開示ができれば、ほとんどの人はあたたかく受け止めてくれるはずです。
*本記事は、「ゴゴスマ石井の なぜか得する話し方」から抜粋・編集したものです。