トランプ前大統領テキサス州ウェーコのウェーコ・リージョナル空港での集会で演説するドナルド・トランプ前米大統領 Photo:Brandon Bell/gettyimages

トランプ氏がSNSで
「逮捕される」と投稿

 米国の政治史上、刑事事件で起訴された大統領経験者はいないが、まもなく新たな歴史が作られようとしている。

 2016年大統領選の投票日の直前、トランプ前大統領が不倫相手の元ポルノ女優に支払ったとされる口止め料をめぐる選挙資金法違反の容疑を捜査してきたニューヨーク州のマンハッタン地区検察が、近日中に起訴するかどうかの決定を下す可能性が高いことが分かったからである。

 この事件の捜査では、かつてトランプ氏の顧問弁護士を務めたマイケル・コーエン氏が検察側に協力し、トランプ氏の指示で13万ドル(約1700万円)の口止め料を支払ったこと、またそのお金を法務費用として不正に会計処理していたことなどを供述したため、トランプ氏は窮地に追い込まれた。

 マンハッタン地区検察のアルビン・ブラッグ検事は3月初めにトランプ氏に対し、大陪審で証言を行うように求めたが、トランプ氏はこれを拒否。その後、3月半ばにコーエン氏が大陪審で証言したことで、「トランプ氏起訴の決定が間近に迫っている可能性が高い」とニューヨーク・タイムズやMSNBCなど主要メディアが一斉に報道した。

 このようななかで、トランプ氏は検察の機先を制するかのように自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、「来週火曜日(3月21日)に逮捕される」と投稿し、「抗議して、私たちの国を取り戻せ!」と支持者らに呼びかけた。それからトランプ氏は無実を訴え、「捜査は政治的な動機に基づくもので、米国の不正義な司法制度を象徴するものだ」と検察批判を繰り返した。