全教組の影響力が
左派的な教育を生んでいる
繰り返しになるが、韓国の教育界には全教組が強い力を有しており、左派傾向が強い。
全教組は盧泰愚(ノ・テウ)政権下の1989年に設立され、金大中政権時代に合法化された。全教組は、その釜山支部が所属教師を対象に開いた「統一学校」(南北関係について学習する目的の研修会のようなものと思われる)で、北朝鮮の歴史書の内容を丸写しにした教材が明るみに出るなど、左派色の強い団体である。
朴槿恵(パク・クネ)政権では、解雇された職員が加入していることが教育労組法に違反するとして2013年に全教組は「法外労組」の処分を受けた。しかし、文在寅前政権下で、この処分は取り消され、合法労働組合としての地位を回復した。
全教組は民主労総の主要な加盟団体である。民主労総と全教組は韓米FTA(自由貿易協定)を阻止するための共同闘争を行うなど、関係を深めている。北朝鮮は、自分たちを執拗(しつよう)に攻撃する保守系の有力紙・朝鮮日報を廃刊に追い込もうと画策、北朝鮮のスパイ組織はその活動に民主労総を使うよう指令を出している。徴用工を巡る反日闘争にも民主労総や全教組が関与している。
左派色は教育行政にも表れている。昨年6月に行われた韓国の統一地方選挙では全国17の主要市・道の教育行政を仕切る教育監の選挙が同時に行われ、その結果は、前回よりは少ないものの、過半数となる9の市・道で革新系が当選、このうち6人が全教組出身であった。韓国の教育界は依然として親中朝・反日米路線を抜け出せないでいる。
尹錫悦政権は、民主労総や左派系の市民団体との闘争を強めている。その影響力を打破するためには文在寅前政権や民主党関係者のこうした団体に対する支援を断ち切る必要がある。それは、文在寅前政権の根幹に関わる問題に発展していく可能性があり、尹錫悦政権との対立は一層深まるであろう。