中国政府は国外逃亡者を追跡し、盗まれた資産を回収するため、汚職摘発担当官を海外に派遣している。習近平国家主席による汚職撲滅キャンペーンを強化するため、摘発範囲を海外に拡大することが狙い。中国共産党の中央規律検査委員会(CCDI)をはじめとする汚職摘発を担う政府機関は、一部の中国大使館に職員を常駐させ始めている。法執行問題などを巡り外国当局との調整を図ることが任務だという。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。関係者の1人によると、汚職摘発チームは20カ国・地域(G20)の参加国など、腐敗官僚が多額の不正資金を隠し持っている可能性が高い国を中心に活動する。CCDIは今年、腐敗撲滅のため国境を越えた取り組みを強化することを公約に掲げた。特に習氏が唱える巨大経済圏構想「一帯一路」の協力国を対象に取り締まりを強める構えで、これにはG20参加国も含まれる。