ユニクロ柳井正が好んだ「血も涙もない言葉」がエゲツなさMAXで泣きそう…Photo:JIJI

ユニクロの創業者・柳井正氏はある言葉を好み、社内の壁に貼っていたという。そんなリーダーに部下としてついていくのは、さぞ大変だろうと思うが、マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ氏と共通点があった。(イトモス研究所所長 小倉健一)

柳井氏の経営の中心思想

 ユニクロの創業者・柳井氏が、好んだという「泳げないものは溺れればいい」という言葉は、グローバルに成長する会社経営の厳しさを端的に表すものだ。

 元は英語の慣用句「Sink or Swim」に由来し、環境に合わせて進むか、適応できずに失敗するかという2つの結果しかないという考え方を示す。自ら努力して困難を克服することを求め、助けや猶予を前提としない厳格な姿勢だ。

 この考え方は、変化の激しい市場で企業が生き残るために必要な覚悟として、これまで多くの経営者に受け止められてきた。

 柳井氏の言葉は比喩にとどまらず、組織文化や人材育成に影響を与える経営の中心思想となった。経営者としての強い危機感が、適応できない者を容赦しない姿勢を形づくった。

 この姿勢は組織に緊張感をもたらし成長を促す一方、冷たく過酷な側面も抱えている。企業という共同体で、個人に自律と成果を徹底的に求める考え方は、肯定と批判の両方を呼び起こしてきた。

 柳井氏が「Sink or Swim」の考えを好んで語ったのは、経営に対する強い不安を常に抱いていたからだ。

 ノンフィクション『ユニクロ帝国の光と影』(横田増生著)によると、柳井は友人に「毎晩のように会社がつぶれる夢を見る」と話していたという。父から事業を継いだときに背負った恐怖が、失敗を許さない厳しい姿勢をつくり上げた。