ディナ・ソーサ・クルスさんは昨年春、家族と進路を検討した。選択肢はコロンビア特別区大学への進学か、保険業界で見習いをするかの二つだ。大学に行けば4年後に学位が取得できるが、借金が残り仕事の経験はゼロだ。見習いになれば2年制の学位と貯金が手に入り、興味のある職業の研修も受けられる。家族全員が見習いを選ぶことに賛成した。「これでもう安心」と母親は言った。米国では新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で学校離れが進み、高校生の選択肢が「大学ありき」から「大学か職業プログラムか」へと急速に変化している。見習い制度は職業プログラムに含まれる。現在、米国の大学には約1500万人の学部生が在籍する。一方、企業が雇用している見習いは約80万人に上る。連邦政府のデータやアーバン・インスティテュートの労働経済学者ロバート・ラーマン氏によると、この10年で大学在籍者数は約15%減少し、見習いは50%以上増加した。ラーマン氏は見習い制度の普及を目指す団体「アプレンティスシップス・フォー・アメリカ」の共同創業者でもある。