給与収入だけで老後資金をまかなえるのか不安に思う人が増えている。多くの人にとって「投資」が避けて通れない時代になってきた。資産を増やすという点で大きな選択肢の1つになるのが株式投資だ。「株投資をはじめたいけど、どうしたらいいのか?」。そんな方に参考になる書籍『株の投資大全ーー成長株をどう見極め、いつ買ったらいいのか』(小泉秀希著、ひふみ株式戦略部監修)が3月15日に発刊された。「ひふみ投信」の創始者、藤野英人氏率いる投資のプロ集団「ひふみ株式戦略部」が全面監修した初の本。株で資産をつくるためには、何をどうすればいいのか? 本連載では、特別に本書から一部を抜粋・編集してその要旨をお伝えしていく。

外食業界の成長株を見つけるキーワード、3つの1000とは?Photo: Adobe Stock

「1000店舗、売上高1000億円、時価総額1000億円」
が1つの目安

 外食チェーンが全国展開に成功した場合の成長イメージは、「1000店舗、売上高1000億円、時価総額1000億円」が1つの目安です。

 業態によっても事情が大きく異なることもありますが、1店舗あたり年間売上高1億円で1000店舗を1つの目安と考えてください。加えて海外展開でも成功すると成長の目安はさらに数倍以上に拡大します。

 下図には、主な外食チェーンの事例をまとめました。

 すかいらーく(すかいらーくホールディングス:3197)、日本マクドナルド(日本マクドナルドホールディングス:2702)、ゼンショー(ゼンショーホールディングス:7550)などは、この水準を大きく超えています。

 すかいらーくは主力のガストが約1300店ですが、バーミヤンやジョナサンなど複数のブランドを展開して3000以上の店舗数となっています。

 日本マクドナルドは小型の店舗も多いので約3000店、ゼンショーは牛丼店「すき家」が約3000店、他のブランドの店や海外店舗も多く1万近い店舗数となっています。

 くら寿司は1店舗ごとの規模が大きいため、1店舗あたりの年間売上高は約3億円です。603店舗のうち海外店舗は83店舗ですが、海外展開を本格化できれば、成長余地は今の数倍程度になる可能性も考えられます。

 アークランドサービスホールディングスやコメダホールディングスはフランチャイズ店が多いため売上高は店舗数の割に少なくなっています。フランチャイズ店は他社が運営しているので、その店の売上高そのものではなく、その店から支払われる経営指導料や食材の卸し料などがホールディングス会社の売上高として計上されるからです。日本マクドナルドもフランチャイズ店が多いので、実際の店舗売上高はさらに大きいと考えられます。

 以上のように見ていくと、全国展開で「1000店舗、売上高1000億円、時価総額1000億円」を1つの目安として、複数ブランドを展開したり、海外展開で成功するなら、成長余地はさらにその数倍になる可能性がある、と考えることができます。

小泉秀希(こいずみ・ひでき)
株式・金融ライター
東京大学卒業後、日興證券(現在のSMBC日興証券)などを経て、1999年より株式・金融ライターに。マネー雑誌『ダイヤモンドZAi』には創刊時から携わり、特集記事や「名投資家に学ぶ株の鉄則!」などの連載を長年担当。『たった7日で株とチャートの達人になる!』『めちゃくちゃ売れてる株の雑誌ザイが作った「株」入門』ほか、株式投資関連の書籍の執筆・編集を多数手がけ、その累計部数は100万部以上に。また、自らも個人投資家として熱心に投資に取り組んでいる。市民講座や社会人向けの株式投資講座などでの講演も多数。
ひふみ株式戦略部
投資信託ひふみシリーズのファンド運用を担うレオス・キャピタルワークスのメンバーにより構成された本書監修プロジェクトチーム。
ひふみ投信:https://hifumi.rheos.jp/