お金の終活 シニアの資産運用&死に際のお金の管理#3Photo:PIXTA

60歳を前に運用を本格的に開始し、すでに数億円の金融資産を手にしたKさん。自身の体験を基に、自分年金づくりのコツを語ってもらった。まったく運用などしていないシニア層に個別株投資はお勧めしないという。失敗することが多いからだ。特集『お金の終活 シニアの資産運用&死に際のお金の管理』(全13回)の#3ではそうした層への有力な投資先として、分配金受け取りに力点を置いたETF(上場投資信託)について解説する。(ダイヤモンド編集部)

「週刊ダイヤモンド」2023年3月25日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

私が実際に買った
配当型ETFのケースを紹介

 投資経験の少ないシニア世代に簡単に説明すると、ETFは投資信託の一種で、一般の投資信託にある不便さ(売買注文を出したときにいくらで買えるかわからないなど)を取り除いてつくられた。そのため、個別株式と一般の投資信託の両面を併せ持つ。

 取引上の便利さ、割安なコストなどがETFのウリで、20年余りの間に急速に銘柄数が増えた。日本経済新聞の株価欄に毎日、ETFの値動きも載っている。そのリストを見ると300本近くある。

 これらは日経平均株価型、東証株価指数型、海外株価指数型、商品連動型などに区分されている。

 それぞれ毎日の株価変動の平均的な動きを示す株価指標(例えば、日経平均なら有力225社で構成される対象企業の平均株価)にピタッと寄りそうように値動きする。この点がETFの最大の特徴である。

 投資家はETFを毎日、朝9時から昼休みを挟んで午後の3時まで、株式と同じスタイルで取引できる。ちなみに売買手数料は株式と同じ。なかには、ちょっと特殊なタイプのETFが混じっている。

 例えば連動対象の指標が示す値動きの2倍、3倍の値幅で動くもので、「レバレッジ型」「ブル型」などという。逆に指標価格の動きと逆方向に上がったり、下がったりするETFもある。こちらは「ベア型」「インバース型」という。

 このようにETFは便利な投資商品だが、初心者や投資経験の少ない人は、ブル型やベア型に近づくのは慎重にすべきだ。投資上のリスクが大き過ぎる。

 下表に個別株式、ETF、一般の投資信託の三つを並べて、その共通点と違いを整理したので、参考にしてほしい。

 あなたが上場企業の持つ“配当パワー”の成果を効率よくゲットしたいのなら、多くの分配金を受け取れそうな「好配当銘柄」を集めたETFに投資すればいい。次ページでは、わが国の主な“配当型”ETFのリストを大公開する。それらの中から一つか二つを選んで投資するわけだが、ここで細かく説明するよりも、私が実際に買った配当型ETFのケースを紹介しよう。