連載第23回は、この10年ほど大きな躍進をしたIT業界の中で、陰りが見えつつある某ソフトウェアメーカーの中年社員を紹介しよう。
彼は、中途採用で入社したときは懸命に仕事をしていたが、最近戦意を失いつつある。その心境の変化は、業界のシュリンクと無関係ではない。
あなたは、生き残ることができるか?
今回のシュリンク業界――ソフトウェア
今や、ソフトウェアメーカーが提供する製品やサービスがなければ、どんな業種の企業も動かない。給与計算ソフトに始まり、様々な部署のパソコンなどで使われるソフトは、膨大な量に上る。開発技術はますます新しくなり、高度化しているが、一部の製品では従来の市場が飽和し、海外市場に活路を見いだそうとするメーカーも増えている。その結果、社内外で熾烈な生き残り競争が起きつつある。
今日も響く「臭う」「頭がデカい」の声
上司にいじられ、追い詰められる中年社員
「あの人は、自分をいじる……」
「いじる? いじめることとは、どう違うのか?」
「いじることはいじめよりもソフトかもしれないけど、自分にはパワハラに見える」
あるソフトウェアメーカーの日本法人(社員数数百人)のシステム開発部に勤務する、猪瀬照光さん(仮名・41歳)は、自らが上司(マネジャー)から受けている行為を「いじられる」という言葉を使い、説明した。