いつ、自分もリストラされるかわからない――。2012年も年末にさしかかり、寒さが一段と増すなか、世のビジネスマンの間ではこんな不安が急速に広まっている。背景にあるのは、業績が振るわない電機・半導体メーカーなどが次々に打ち出している大規模なリストラだ。昨今行なわれているリストラは、規模の面から見ても普通ではない。あらゆる業界で顕在化している構造不況の深刻さを感じさせる。企業で働く社員が「万が一」のときに冷静に対処し、損をしないためには、どんな心得が必要なのか。専門家の声を交えながら、詳しく分析してみよう。(取材・文/プレスラボ・宮崎智之)
残った社員の心も荒廃していく惨状
構造不況の日本を覆うリストラ不安
いつ、自分もリストラされるかわからない――。
2012年も年末にさしかかり、寒さが一段と増すなか、世のビジネスマンの間ではこんな不安が急速に広まっている。
背景にあるのは、業績が振るわない電機・半導体メーカーなどが次々に打ち出している大規模なリストラだ。各社とも数千~数万人規模の人員削減を進めている。「大企業に勤めていれば一生安泰」という時代は、もはや過去のものになってしまったと言わざるを得ない。
深刻なのは、日常的にリストラ不安が募る組織の中で、残された社員の心が荒廃し始めていることだ。
ある電機メーカーに勤める20代の男性社員は、こう愚痴をこぼす。
「そろそろ辞めようかと思っています。自分はリストラ対象になりそうな年齢ではありませんが、『もうこんな会社にいたくない』という気持ちが強くなった。リストラをやったところで、今の会社の体質では、到底この不況を乗り切れるとは思えません。問題の先送りに見えます。見切りをつけた同期も数人辞めました。30代、40代に比べれば若さがあるとはいえ、この不況なので転職先が見つからない不安は大きい。でも、とにかくここから出て、人生をやり直したいんです」