モスクワで開かれていた20ヵ国・地域財務大臣・中央銀行総裁会議(G20)は、2月16日夜に共同声明を採択して閉幕した。各紙は軒並み一面のトップで報じたが、日経新聞(2月17日朝刊)の見出しによれば、「アベノミクス薄氷の支持」という結果となったようだ。ところで、G20は何故、これほどまでに注目されるのだろうか。

グローバリゼーションが
G20を押し上げた

 世界の主要国の集まりとしては、1976年に発足したG7がよく知られているが、G7は首脳会議(サミット)と財務大臣・中央銀行総裁会議から構成されていた。ところが、グローバリゼーションの進展に伴い、G7だけでは激変する世界の金融・経済情勢に対応できなくなってきたので、1999年より、G7にロシアや新興国11ヵ国が加わり、G20財務大臣・中央銀行総裁会議が開催されるようになった。

 この会議には、国際通貨基金や世界銀行等、関係する主な国際機関も参加している。アメリカのサブプライムローン問題(2007年)を契機とした世界金融危機の高まりを受けて、2008年からはG20の首脳会議も開かれるようになった。そして、2009年、アメリカで開催されたG20は、「G20を国際経済協力の第1の協議体」とすることで合意した。即ち、G20は、国際金融・経済に係る実際的な「世界の司令塔」となったのである。

 ちなみに、世界のGDPに占めるG20のウェイトは約9割、貿易総額に占めるG20のウェイトは約8割と、圧倒的なシェアを占めている。少し旧聞に属するが、例えばエジプトのアラブの春(2011年)は、原因も結果も共にワシントン発であったと揶揄されることがしばしばある。

 その意味は、アメリカの金融緩和政策(QE1・2)が、エジプトの食料価格を押し上げ、市民がフェイスブック等、アメリカ初のソーシャルネットワークを介して集まり、政権を打破したというところにある。事の真偽はともかく、このようなグローバリゼーションにおける世界経済の一体化という現象を直視すれば、G20が世界の司令塔となることは、必然的な流れであったと理解されよう。