経済的なストレスに圧倒されている若者の多くは、問題から目を背けることでやり過ごしている。
中には、銀行口座やクレジットカードの残高を無視し、支出を把握しきれなくなり、借金を重ねている人たちもいる。フィンテック大手クレジットカルマによると、3月のクレジットカードの平均債務は、30代のミレニアル世代で前年同月比29%増の5800ドル(約78万円)、より若いZ世代で40%増の2800ドルに達した。金融情報会社ナードウォレットの調査によると、若年層はクレジットカードで延滞金を支払ったり、キャッシングサービスを利用したりする傾向も強かった。
心理学者はそれを「金融行動の回避」と呼び、時代を問わず若者に典型的な習性だと話す。
しかし、新型コロナウイルス流行の経済的な副作用に高インフレが追い打ちをかけ、こうした回避に拍車がかかっている、と経済学者や金融アドバイザーらは話す。銀行やクレジットカード口座を無視すれば、支出過剰や信用低下、多額の債務などに直面することになる。コロナ以降、全年代で最も債務が増えているのがミレニアル世代だ。回避は、住宅購入や引退など、その後の人生の節目を複雑にしかねない。