メインシナリオは
引き続きドル安円高

 筆者は、今年のドル円が年末にかけて120円に向かって下落する展開をメインシナリオとしている。

辞令交付後、握手する日銀の植田和男総裁(左)と岸田文雄首相辞令交付後、握手する日銀の植田和男総裁(左)と岸田文雄首相 Photo:JIJI

 今年半ばに、米国の利上げは終了し、その後、利下げ開始期待の高まりからドル安圧力が強まるとみられる。一方、日銀は、新体制下で何らかの政策修正をし、日本の金利が上昇することで円高圧力がかかるとみられる。

 結果として、日米金利差は年末にかけて縮小し、ドル円は下落するという展開だ。3月に起きた米銀破綻により、今後、米銀が融資に対し慎重となり、米経済の向かい風となり得ることから、筆者のメインシナリオ実現の確率は高まったとみていた。

 しかし、4月10日の植田和男新日銀総裁の就任演説や、最近の米経済指標をうけ、ドル円が下落しないリスクシナリオの実現可能性が、依然として低いものの、従来より高まったとみている。