昨年、株価が10倍に跳ね上がったゲーム会社がある。その名は、ガンホー・オンラインエンターテインメント。昔から「ラグナロクオンライン」などの人気PCオンラインゲームでは知られた存在ではあったが、ゲームアプリ「パズル&ドラゴンズ」が800万ダウンロードを達成、いまや月商10億円以上という業界内の噂も駆けめぐり、株価も跳ね上がった。「パズル&ドラゴンズ」の、いったい何が面白いのだろうか。コンテンツ業界の片隅でひっそりと生きる、パズドラ好きなサラリーマンに語ってもらった。
「パズドラはソーシャルゲームではない?」
これだけの理由
家庭用ゲーム専用機以外で遊ぶものをすべて「ソーシャルゲーム」と乱暴にくくった場合、ゲームジャンルとしては「カードバトル」タイプのゲームが圧倒的に多いのですが、パズドラは「パズル&ドラゴンズ」というタイトル名が示すとおりパズルで戦います。制限時間内に同じ色の石をいかに多くつなげるかで相手に与えるダメージが決まる、という珍しいシステムなのです。
このゲームの内容をかなりざっくりまとめると、
・ダンジョンに潜入して、次々と立ちふさがるモンスターを倒していく
・たまに倒したモンスターを捕まえて仲間にできる
・そうやってモンスターを集め、鍛え、より強敵の出現するダンジョンを目指す
――という、それだけ聞くと実にオーソドックスなシステムのゲームです(ただ、そんなありふれた枠組みの中に目新しい仕掛けが採り入れられているのがパズドラの妙です。詳しくは後ほど)。
パズドラも、「基本無料でアイテム課金」やスタミナ制などのソーシャルゲーム風の味付けはしてありますが、実体は、どちらかというと昔ながらのテレビゲームという感じです。本連載「ソーシャルゲームの何が問題か」ではさまざまな問題が採り上げられていますが、パズドラがこの中で取り上げられた問題の要素で持っているのは「ガチャ」くらいでしょうか。