Photo:DW
任天堂にとって2013年は、ファミコン発売30周年という節目の年だ。ところが、肝心の売上げが低迷している。13年3月期の売上高を6700億円(従来予想は8100億円)、営業損益を200億円の赤字(同200億円の黒字)にそれぞれ下方修正した。かつての優良企業が2期連続の営業赤字転落の見通しだ。
08年3月期~11年3月期は4期連続で売上高は1兆円を超え、12年3月期に6476億円に急減した推移からも、任天堂の販売不振が見て取れる。11年2月に発売した携帯型ゲーム機「ニンテンドー 3DS」の販売が低迷したうえに、12年12月に投入した据置型ゲーム機「Wii U」が伸び悩んだのが要因だ。
「Wii U」は、一定数量が売れるまでは、売れるほどに赤字が増える「逆ざや」の安い販売価格に設定している。米国では発売当初に品切れの店が続出し、立ち上がりが順調だっただけに、失速にショックを隠せないゲーム業界関係者は多い。
同時に、任天堂の戦略ミスを指摘する見方も強まっている。
これまで任天堂は、ハードの新製品発売時は「品切れ」感を出して需要を盛り上げてきたが、今回はそれが通用しなかったのだ。
任天堂は、「新製品のため、簡単に増産ができない。米国では“ニンテンドーランド”が付いたプレミアムセットに人気が集中したが、そのニーズを見越して商品供給ができなかった」(幹部)と説明するが、家庭用ゲーム機市場そのものが低迷しているなか、消費者に飢餓感をあおる商法は機会損失を招いただけのように見える。
また、ソフトの供給体制の問題もある。任天堂は「Wii U」では主力の「マリオ」を発売と同時に投入するなど、発売当初こそ有力ソフトがあったものの、13年1~3月期に新作ソフトはない。業界内では開発の遅れが指摘されている。