加齢に伴い発症リスクの高まるがんやアルツハイマー病といった疾患の早期発見で、新たな血液検査が注目を集めている。昨年から発売されたある検査は、一つの血液サンプルから50種類以上のがんについて初期の兆候を検出できるとされる。これには定期的なスクリーニング検査がこれまで存在しなかったすい臓がんも含まれる。別の検査では、アルツハイマー病患者の脳に蓄積し、記憶力や思考力を奪っていく有害なタンパク質の塊(アミロイド斑)を、認知能力が低下する前の段階でも正確に発見できることが示された。だが、こうした検査の登場に伴い、多くの疑問も生じる。どういう人を対象に検査を受けられるようにすべきか、あるいは検査結果を受けて患者や医師はどのような決定を下す必要があるのかといった問題だ。アルツハイマー病やがんの検査は高額で、現時点では医療保険の対象にはなっていないものが多い。正しく使用されなければ、余計な懸念や不安につながり、差し迫った健康問題でもないのに追加検査を受けることにもなりかねない。