40歳・50歳・60歳から人生を一新! 資格&学歴 裏ワザ大全#18Photo by Hiroaki Miyahara

日本初のカジノを含む統合型リゾート(IR)施設の着工で、にわかに注目が集まる民間資格が「カジノディーラー」だ。日本人のカジノ人材が不足する中、その育成が進んでいる。特集『40歳・50歳・60歳から人生を一新! 資格&学歴 裏ワザ大全』の#18では、知っているようで知らないカジノディーラーの年収や目指し方、求められるスキルを解剖する。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

大阪IRの開業に向けて需要急増が確実視
カジノディーラーを目指す中高年が増加中

 2025年4月、日本国際博覧会(大阪・関西万博)が開催中の人工島・夢洲(大阪市)で、日本初のカジノを含む統合型リゾート(IR)施設の起工式が行われた。大阪IRは30年秋の開業を予定しており、開業後の経済効果は年約1兆1400億円、約9.3万人の雇用創出が見込まれている。

大阪市で2030年開業予定のカジノを含むIR施設の完成予想図大阪市で2030年開業予定のカジノを含むIR施設の完成予想図

 その開業が迫る中、実質的に日本における新しい職業としてにわかに注目を集めているのが「カジノディーラー(以下、ディーラー)」だ。

「大阪IRのカジノには約470卓のカジノテーブルが設置される見込みで、必要なディーラーの人数は、24時間3交代制での勤務、休日を考慮すると最低でも2000人ほど。さらに、ディーラーを管理監督する『フロアパーソン』など管理職を含めると、総勢2600人以上のカジノ人材が採用される見込みです」と言うのは、日本初で現在唯一のディーラー養成機関、「日本カジノスクール」の大岩根成悦校長だ。

 日本カジノスクールの卒業生総数は約1100人で、このうち海外でプロのディーラーとして働いているのはおよそ200人。残りは会社員など別の仕事をしているため、大阪IRの開業時にスキルを維持できている人数は約4分の1にとどまると推測されている。結果、「今後、開業までの5年間で新たに1000人を大きく超えるディーラーを育成する必要がある」(大岩根氏)という。しかも、地域経済の活性化というIRの目的から、基本的に日本人従業員を雇用することが求められているため、外国人ディーラーで穴埋めすることもできないのだ。

 それだけではない。18年に成立した「IR実施法案」では、IR施設数は最大3カ所と定められており、一部報道によれば、国は目下、残るIR計画の2次募集に向けた準備を急いでいるという。関係者の間では、東京都など首都圏から1カ所、北海道もしくは沖縄県から1カ所が選ばれる可能性が高いと目されているが、実現すればその分のカジノ人材も必要になってくる。

 近い将来、需要の急増が確実視されているディーラーには、20歳以上で犯罪歴、破産歴、違法カジノでの勤務歴などがなければ、老若男女、ほぼ誰でも目指すことができる。さらに「週2~3日勤務や夜勤のみ、海外での勤務など働き方も柔軟で、リタイア後のセカンドライフや副業、主婦(主夫)のパートタイムとしても働ける点が魅力」(大岩根氏)だ。実際、大阪IRの決定後、定年後を見据えたシニアを含む中高年の会社員の入校が増えているという。

 では、「稼ぎ」の方はどうなのか?こちらも「カジノがあるどの国も共通しているが、ディーラーの給与は、その国の平均よりも高く設定されており、日本もそれに倣うことが確実視されている」(大岩根氏)。

次ページでは、ディーラーの具体的な年収と開業時にさらに高い賃金を得る方法に加え、プロディーラーの目指し方、求められるスキルや性格などを徹底指南する。