11×11~19×19をパパっと暗算できる「おみやげ算」。新刊『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』は、小学生の計算力強化はもちろん、大人の脳トレとしても役立ちます。本書の著者である、東大卒プロ算数講師の小杉拓也氏に、「速さの問題」にもふれながら、わかりやすく解説してもらいました。

【制限時間20秒】「分速400mで26時間、進む道のりは何kmか」を暗算できる?Photo: Adobe Stock

おみやげ算のおさらい

さっそくですが、おみやげ算の計算法について説明します。

(例)18×16=

①18×16の右の「16の一の位の6」をおみやげとして、左の18に渡します。すると、18×16が、(18+6)×(16-6) =24×10(=240)になります。

②その240に、「18の一の位の8」と「おみやげの6」をかけた48をたした288が答えです。
まとめると、18×16=(18+6)×(16-6)+8×6=240+48=288です。

この2ステップで、例えば、14×14、13×15、17×19などの「十の位が1の2ケタの数どうしのかけ算」は、おみやげ算を使ってすべて計算でき、慣れると暗算もできるようになります。

また、新刊では紹介していませんが、例えば、35×35、72×78、95×95などの「十の位が同じ2ケタの数どうしのかけ算」も、おみやげ算を使ってすべて計算できます。

「おみやげ算で計算できる理由の証明(文字式を使った説明)」については、本連載の第2回『「16×18=288」が爆速で暗算できる驚きの方法』に掲載しています。

小学生向けの理由の説明は、新刊『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』の巻末に、長方形の面積図を使った方法を載せているので、興味のある方はご参照ください。

「分速400mで26時間、進む道のりは何kmか」を暗算できますか?

では、次の問題をみてください。

【問題】分速400mで26時間、進む道のりは何kmかを暗算で求めましょう。[制限時間20秒]

まず、「速400m」「26時間」「進む道のりは何kmか」の単位がそろっていないので、「速400m」を「時速km」に直しましょう。

「分速400m」は「1分間に400m(=0.4km)進む速さ」のことなので、1時間(=60分間)では、(0.4×60=)24km進む速さであることがわかります。つまり、「分速400m=時速24km」です。

これにより、「時速24kmで26時間、進む道のりは何kmか」を求めればよいことになります。「1時間に24km進む速さ」で26時間進むのですから、道のりは「24×26」を計算すれば求められます。

24×26は、「十の位が同じ2ケタの数どうしのかけ算」なので、おみやげ算で、次のように計算できます。

①24×26の右の「26の一の位の6」をおみやげとして、左の24に渡します。すると、24×26が、(24+6)×(26-6) =30×20(=600)になります。

②その600に、「24の一の位の4」と「おみやげの6」をかけた24をたした624が「24×26」の計算結果です。
これで【問題】の答えが「624km」と求められました。スムーズに暗算できたでしょうか。

おみやげ算ができるようになれば、今回の問題を20秒以内に暗算することも可能です。さまざまな計算法がありますが、おみやげ算を、そのひとつに加えてみるのはいかがでしょうか。まずは、11×11~19×19の暗算をマスターしましょう。小学生の計算力強化はもちろん、大人の脳トレとしても役立つ、新刊『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』がおすすめです。